成人の5人に4人は歯周病!?今だから知っておきたい「歯ぐき」の健康について
成人の5人に4人は歯周病!?
「歯周病」は、歯肉炎が進行した歯槽膿漏も含む一般的な総称です。歯科治療の現場では歯槽膿漏や歯肉炎をまとめて「歯周病」と呼ぶケースがほとんどです。
近年の調査では、日本人(成人)の5人中4人が歯周病症状の報告※1がされており、また80歳を過ぎると自分の歯が残っているのは8本前後と、大半を失っていることも分かっています。
歯周病の症状としては「歯茎が下がり、歯の根が見える」「歯がグラグラする」などが見られ、昔から「サイレントディジーズ(静かなる病気)」「サイレントキラー」「静かな殺し屋」などと言われています。
痛みがなく症状が進行することで気づいたときには歯が抜け落ちたり、または抜歯が必要になったりする可能性があるためこのように呼ばれています。
※1 出典:平成23年厚生労働省歯科疾患実態調査(歯肉所見のある者<20歳以上~80歳未満>)

歯周病の1つ、「歯槽膿漏」とは
歯周病の1つの疾患である「歯槽膿漏」とは、一般的に歯みがきをした際に出血したり、歯がぐらつくなどが現れた状態のこと指します。
具体的には次のように歯槽膿漏は進行していきます。
▼~軽度
歯石などが歯と歯茎の隙間に入りこみ、歯周病菌が繁殖。軽い出血や腫れがある。
▼軽度
歯周ポケットが広くなり、歯茎の位置が下がる。炎症が進行する。
▼中等度
歯周病菌が歯を支える骨を溶かしはじめる。歯茎から膿が出ることもある。
▼重度
歯の根も溶けて小さくなり、最終的には抜けてしまう。

もしかすると気づかないうちに歯槽膿漏が進行しているかも...!?
次にセルフチェックの項目を用意しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
歯槽膿漏をセルフチェック

歯槽膿漏は気づかないうちに進行していき、重症化していることが多いです。
そのため定期的なセルフチェックが必要です。以下の項目に心あたりがないか、一度確認してみましょう!
- 朝起きたときに、口の中がネバネバする
- 歯みがきをしたときに、出血する
- 歯肉が赤く腫れている
- 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食べ物が挟まる。
- 固いものが噛みにくい
- 歯肉がむずがゆい、痛い
- 歯と歯肉の間から膿が出る
- 口臭が気になる
- 歯ならびが悪くなってきた
- 歯が長くなってきた気がする
- 歯がぐらつく
▼あてはまる項目が3つ以上の方は…
歯槽膿漏の可能性があります。症状が悪化するようであれば歯科を受診しましょう。
▼あてはまる項目が5つ以上の方は…
歯槽膿漏が進行している可能性があります。歯科医師へのご相談をおすすめします。
▼あてはまる項目が7つ以上の方は…
歯槽膿漏の症状が、かなり進んでいる恐れがあります。できるだけ早めに、歯科医師へご相談ください。
ただし、ひとつでも強く症状を感じるときには、歯科医師へのご相談をおすすめします。
歯槽膿漏を含む歯周病の予防法について
歯槽膿漏を含む歯周病にならないため、大切なのことは予防、診断、治療、そしてお口のメンテナンスです※2。また歯垢は根本的な原因のため、歯垢をためない、増やさないことが基本です。そのために以下の4点を意識して予防に取り組んでいきましょう。
- 正しい方法で毎日歯みがきを行うこと。(歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておく事が何より大切です。)
- 歯肉の中まで入っている歯石を完全に取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去すること。
- 傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近い歯肉にすること。
- 健康の保持のため歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメンテナンスを定期的に受けること。
※2 出典:特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会. 「歯周病について」. https://www.jacp.net/perio/about/,(参照 2022-11-16)
日常的なケアでいつまでも健康的な歯ぐきに
歯周病は、歯周組織を壊してしまう原因で、重度になると歯を失ってしまう可能性もあります。歯周病にならないためには普段から丁寧な歯周病ケアが大切です。
健康的な歯ぐきを保ち、いつまでも自分の歯でおいしく食事を楽しめるように、ぜひ今から歯ぐきの日常的なケアを行っていきましょう!