皮膚の専門家も使う美白成分「ハイドロキノン」。安全に、そして効果的に使うには⁉

 

医療現場でもシミ治療の一つとして使用されている美白成分「ハイドロキノン」。よく話題にもなる成分ですが、その効果はどのくらいあるの?また、刺激が強いとも聞くけれど、どんなことに気をつけたらいいのだろう?
今回はそんな疑問について解説しながら、ハイドロキノンを安心して効果的に使用するためのポイントをご紹介していきます。

ハイドロキノンはどんな成分?

ハイドロキノンはイチゴや麦芽、コーヒー、紅茶などに含まれる天然にも存在している成分です。そして、もともとは写真の現像液として使用されていましたが、現像作業を行っていた人の手が白くなることからハイドロキノンの漂白効果が注目され、研究されるようになりました。

アメリカでは、ハイドロキノンが4%以上配合されたものは「処方薬」として医師の管理の下、長年シミ治療に使用されてきました。日本でも皮膚科医が院内にてハイドロキノンクリームを自ら調合し、シミ治療に使用してきた歴史があります。そして2001年の薬事法改正によりハイドロキノンの化粧品への配合が許可され、クリニック専用化粧品あるいは濃度を調整した一般化粧品として販売されるようになりました。

ハイドロキノンの強い美白作用

ハイドロキノンは、主に次の2つのアプローチ方法で強力な美白効果を発揮します。

①メラニンが作られるのを抑える

皮膚内のメラノサイトという細胞内で、チロシンというアミノ酸が「チロシナーゼ」という酵素の働きにより黒褐色の「メラニン」へと変化します。この黒褐色の「メラニン」がシミのもとです。そしてハイドロキノンは、このメラニンを生み出す酵素「チロシナーゼ」の働きを抑制し、美白効果を発揮します。

ハイドロキノンがこの「チロシナーゼ」酵素の働きを抑えるパワーは、医薬部外品の美白有効成分であるアルブチン、コウジ酸の10~100倍とも言われています。また、ハイドロキノンはメラニン産生工場であるメラノサイト自体の活動も弱めるという研究報告もあります。

②今あるメラニンを薄くする

ハイドロキノンには、酸化反応により黒褐色となった「メラニン」を強く還元することで、もとの薄い状態にする、「還元力」が非常に強くあります。つまり、今あるシミを薄くすることができるのです。

どんなシミに効果があるの?

ハイドロキノンは、皮膚の浅い部分(基底層~表皮)にメラニン色素が過剰に沈着しているタイプのシミに有効です。シミの種類で言うと、以下のタイプのシミに有効です。

  • ・肝斑
  • ・雀卵斑(じゃくらんはん) *そばかすのこと
  • ・炎症後色素沈着
  • ・日光黒子(老人性色素斑)




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皮膚の深い部分(真皮)にメラニン色素が沈着した茶~青色のあざ(扁平母斑)のように、生まれつきあるタイプのシミには、ハイドロキノン単体では効果がなく、他の方法との併用で有効とされています。 自分のシミにハイドロキノンが有効かどうか悩んだら、専門家に相談してみましょう。

効果が高いからこそ、気をつけるべきこと

美白成分として大変有用なハイドロキノンですが、長年、医師の管理下でしか使用できなかったのには理由があります。なぜなら、ハイドロキノンを自己判断で誤った使い方をしてしまうと、かぶれや炎症、白斑といった副作用のリスクが高まってしまうからです。きれいになるために使った化粧品で副作用が起きてしまっては本末転倒。必ず、次のことに注意して使用するようにしましょう。

1.自分の肌に合うか試す、ユーステストを行う

初めて使うハイドロキノン製剤は、顔の目立たない部分に少量を3日間ほど続けて塗ってみて、その部分に赤みやかぶれの症状が起きないかを試してみましょう。もし肌に異常を感じた場合は、メーカーの相談窓口に問い合わせるか、医師に相談してください。また、ハイドロキノンは安定化が非常に難しい成分です。基材(製剤のベースとなる成分)との相性にも違いがあるため、他のハイドロキノン製剤で大丈夫だったからと油断せずに、初めて使う製剤では、使い始める前に必ずユーステストを行いましょう。

2.紫外線対策を必ず行う

ハイドロキノン使用中に紫外線を浴びると、肌に炎症を起こす場合があります。日中は必ず日やけ止めを使用し、日傘や帽子で日光に当たらないよう気をつけるとより良いです。長時間日光に浴びるなど、強い紫外線を受ける場合には、ハイドロキノンの使用は夜だけにするなど、慎重に使用しましょう。

3.推奨されている使用目安量、使用回数はしっかり守ること

たっぷり塗った方が早く効果がでるかな…?と安易に考え、自己判断で使用量や使用回数を増やすことは、色素沈着や白斑のリスクを高めることになります。製品に記載されている使用方法をしっかり読み、推奨量を使用することで最大の効果が得られると考えましょう。

4.長期間の使用は必ず避けること

美白成分でシミ治療を行う場合、症状によっても異なりますが一般的には効果を実感するまでに時間がかかるものです。そのため、ハイドロキノンを使う場合は使用期間についても慎重に考える必要があります。医療現場では、肌の状態を見ながらハイドロキノンを3ヵ月継続使用した後、肌を休ませるために3ヵ月間ハイドロキノンの使用を中止する使い方が一般的です。そして、ハイドロキノンの中止期間が3ヵ月経った後は、またハイドロキノンの使用を3ヵ月継続する「インターバル使用」が行われています。副作用のリスクを減らして、しっかり効果を発揮するためにも、この使用期間の約束は必ず守るようにしましょう。

 

ハイドロキノンの使用を休んでいる期間は、どんなスキンケアが有効?

ハイドロキノンを使用していない期間も、日やけ止めを塗るなどの紫外線対策はしっかりと行いましょう。また、皮膚科ではハイドロキノン休止中はビタミンC配合の美容液の使用がおすすめされています。ビタミンCにもチロシナーゼの働きを抑える作用や、メラニンを還元する作用があり、長期間使用も可能な成分です。ハイドロキノンの構造とよく似ているアルブチンやコウジ酸の使用は念のため避けたほうが良いでしょう。

いかがでしたか?医療機関に通わないと使用できなかったハイドロキノンも、自宅で行うスキンケアに手軽に取り入れられる時代となりました。その一方で、誤った使用方法によって起こる肌トラブルのリスクについてもしっかりと認識しておく必要があります。 せっかくの効果のある美白成分です。その力を存分に発揮させるためにも、正しい使用方法を理解することと、使い方や肌状態で迷った時に気軽に相談できる「かかりつけ窓口」を見つけておくことも安心して使用するためには大切です。