目の病気のサイン!?もしかすると、その目やに“ものもらい” かも?

目の病気のサイン!?もしかすると、その目やに“ものもらい” かも?

目やには生理現象のひとつで、出るのは自然なことですが量が増えたり状態が変わったりしたら、トラブルを知らせるサインかも。
今回は目やにの要因のひとつ、“ものもらい”についてお伝えします。

目やにの変化はトラブルのサイン!?

朝起きると目頭に目やに。誰にでもあることですが、そもそも目やにとは何かご存じでしょうか。通常出る目やには、目から分泌される粘液や代謝活動による老廃物などからできています。これらの老廃物などは涙によって鼻に排出されるのですが、就寝中は涙の量が減るため、起床時に塊となって目やにが出やすくなります。少量の乾いた目やにがついていても、大きな心配はありません。しかし、目やにの量が普段より多い、色や状態がいつもと違うと感じたら、要注意。それは、目にトラブルが起きているサインかもしれません。

細菌やウイルスに感染して炎症が起きると、黄色や緑色っぽい膿性の目やにや、白くベタベタした目やにが大量に出ることがあります。また、ダニやハウスダスト、花粉症などのアレルギー反応でも、さらさらとした水状の目やにが出ることがあります。そして、加齢も目やにを増やす要因のひとつ。涙の分泌量が減り、循環が悪くなることに加えて瞳の回復力も低下するため、炎症や目やにが発生しやすくなるのです。

目やには、涙とともに 流れ出なかった不要物  本来は涙とともに涙点から流れ出る、老廃物やゴミ、埃が、流れずにとどまったものが目やに。  ・主涙腺 ・涙点 ・老廃物

目やにの要因のひとつ“ものもらい”とは?

目やにの要因となる病気のひとつに、“ものもらい”があります。まぶたの一部が赤く腫れて痛くなる“ものもらい”は、とても身近な病気です。目の周りのできもののほとんどは“ものもらい”と呼ばれ、めばちこ、めいぼ、おひめさんなど地方ごとにさまざまな呼び名があります。医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」などを指します。

麦粒腫は、まぶたの縁や内側に細菌が感染して、まぶたの一部が腫れて赤くなるものです。まつ毛の毛根に感染した場合を「外麦粒腫」、まぶたの内側のマイボーム腺に感染した場合を「内麦粒腫」といいます。はじめはまぶたに局所的な赤みが現れ、しばしば軽い痛みやかゆみを伴います。炎症が進むと、赤み、腫れ、痛みが強くなることも。化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出ることがあり、膿が出た後、症状は回復に向かいます。麦粒腫の原因となる細菌は多岐に渡り、涙で洗い流せる弱い菌もあれば黄色ブドウ球菌など重症化しやすい菌もあります。主に、細菌がついた手指で目を触ることで感染します。

霰粒腫は、まつ毛の内側にある目を乾燥から守るために必要な脂質が出る分泌腺「マイボーム腺」の出口がつまり、慢性的な炎症が起きた結果、肉芽腫という塊ができる病気です。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない炎症です。霰粒腫の主な症状はまぶたの腫れや異物感で、多くは痛みも赤みもなく、まぶたの内側にコロコロとしたしこりのような塊ができます。炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、これを「急性霰粒腫」といいます。

“ものもらい”は、プールや海水浴のシーズンに、特に注意したい目の疾患のひとつ。対処が遅れると細菌が増殖を繰りかえし、痛みを伴う化膿性炎症などを引き起こしかねませんので注意が必要です。

目やには不要なものを排出した生理現象ですが、量が増える、色が違うといった異変があれば、“ものもらい”のような炎症などのトラブルが起きている可能性があります。たかが目やにと思われがちですが、目の健康状態を知るためのバロメーターなのです。目からのサインを見過ごさず、状況に応じて目薬を使う、眼科へ行くなどの対処をしましょう。

ものもらいの種類

身近な目の病気 “ものもらい”の予防と対処法

誰もがかかる可能性がある、“ものもらい”。
その予防法と、なってしまったときの対処法についてご紹介します。

■“ものもらい”を予防するには

●こまめに手を洗う

麦粒腫は手指を介して細菌に感染するので、こまめに手を洗い、汚れた手で目を触らないことが大切です。コンタクトレンズをつけるときや外すときは必ず手を洗いましょう。

●まつ毛の生え際をマッサージする

朝晩の洗顔時、目を閉じた状態でまつ毛の生え際に指先を揃えて当て、1~2ミリ左右に揺さぶり、やさしくマッサージしましょう。習慣にするとマイボーム腺がつまりにくくなります。

●食事などに注意して免疫機能低下させない

健康で免疫機能が正常に機能していれば、たとえ目に細菌が触れても感染することはありません。しかし、免疫機能が未熟な子供や免疫機能が低下している人などは感染しやすいので注意が必要です。睡眠や食事に注意して免疫機能を低下させないことが大切です。

まつ毛の内側までアイメイクをすることを避ける

アイメイクでマイボーム腺を塞ぐと麦粒腫や霰粒腫の原因になるため、まつ毛の内側までアイメイクをすることは避けましょう。また、まつ毛のエクステンションはマイボーム腺を塞ぎ、目の周りを清潔に保ちにくくなるためおすすめできません。

■“ものもらい”ができてしまったら

麦粒腫はOTC医薬品※で対応できます。でき始めになるべく早く抗菌剤が配合された目薬を使うと効果的です。霰粒腫は細菌感染を伴いませんが、炎症予防のために抗菌剤が配合された目薬を使うことは有効です。しかし、少しでも症状が悪化してきた場合は眼科を受診しましょう。眼科では抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んでいる場合は、切開して膿を出すこともあります。炎症による腫れがひどくなると、すぐには切開できず治療が長引くため、症状がひどくなる前になるべく早く眼科を受診しましょう。

※薬局やドラッグストアで処方箋なしで購入できる医薬品

目薬のイメージ

“ものもらい”が治るまでにどのくらいかかる?

麦粒腫はでき始めに適切な抗菌剤入り目薬を使うと1週間程度で治ります。霰粒腫もでき始めに抗菌剤入り目薬を使い、炎症を予防することができれば早く治りますが、しこりができてしまうと薬が炎症部分に届かなくなり、治るまでに何ヵ月もかかる場合があります。

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