『より良い食』を石垣島から食の可能性に挑戦し続ける「やえやまファーム」

「より良い食を」石垣島から!やえやまファームの挑戦 南ぬ豚(アグー豚)肥料をつくる 育てるパイナップル ジュース 循環型農業

薬に頼らない健康を目指すロート製薬は、石垣島を拠点とする「やえやまファーム」を通じて、さまざまな取り組みをしています。豊かで健康的な社会を実現するために、私たちが出来ることとは?「やえやまファーム」代表取締役社長・中家が語ります。

循環型農業で地球に優しく、人を健康にしたい!

やえやまファーム代表取締役社長/中家

私たち「やえやまファーム」は約10年前から、循環型農業に取り組んできました。牛や豚の糞尿を堆肥に栄養たっぷりのパイナップルを作り、そのパイナップルでジュースを作る際の搾りかすを豚の飼料にする、というように、有機農業や畜産に必要な堆肥や飼料は、可能な限り自社の農場と牧場内で作っています。また、最近では自社内だけでなく泡盛やサトウキビの搾りかすなど石垣島の中で発生する廃棄残渣を活用し、地域全体での循環型農業も実践しています。

沖縄は心も身体も健康な人がたくさんいます。これは、ロート製薬が目指す「健康」でもあり、長寿と言われている沖縄にその秘密があるのではないかと考えたことが、石垣島で循環型農業を始めたきっかけでした。石垣島という小さな島国で実現可能なものであれば、それを、もっと大きな島国である日本に適用できるのではないかと思ったのです。

実は私たちの最近の研究で、泡盛の蒸留粕を配合した発酵飼料を与えた牛と通常飼料を与えた牛では、泡盛の蒸留粕を与えた牛のメタンガス発生量はおよそ47%減少するということが分かりました。メタンガスというのは地球温暖化の原因のひとつとも言われていて、牛などの呼気から発生する量は、国内全体の発生量の約4分の1を占めています。本来なら廃棄となるはずの泡盛のかすを、地球温暖化対策として活かすことができるのではないかという発見は、循環型農業を行っている中でのとても嬉しい成果でした。このような研究ができるのは、ロート製薬だからこそだと思っています。ただ単に地域に密着して農業をするというだけでなく、ロート製薬であることの強みをどのように活かし、どのように社会に貢献することができるかを、日々考えて実践しています。しかし、循環するのはこういった資源だけではありません。私たちの理念に、「人を良くする。人から良くする。」というものがあります。「良い食」は、人を健康にします。そして、健康になった人が良い社会を考え、良くしてくれる。つまり、食を良くすることで、社会を良くすることができると私たちは考えています。これもひとつの循環です。

「より良い食」のために私たちが出来ること

日本では最近、食料自給率の低下が問題となっています。この原因のひとつに、農家さんの平均年齢の上昇です。若い世代が減少し、食料自給率が低下してしまうと、当然「良い食」は提供できません。やえやまファームではそういった現状に危機感を覚え、もっと若い世代にも農業について知ってもらおうと、さまざまな取り組みをしています。そのうちのひとつが「オンラインファームツアー」です。これは参加者に事前に食べ物を送り、その生産者とオンラインで交流をし、生産秘話などを語ったりするツアーになっています。オンラインということを活かして、同時に1000人が体験することができるツアーなので、たくさんの人に、農業のことをより楽しく、身近に感じてもらえると思っています。

また、やえやまファームでは実際に若い世代も活躍しています。パイナップルが大好きで「パイナップル王子」と呼ばれている山中は、日本で唯一の有機パイナップルを栽培しています。本当にお客さまが安心して食べられるパイナップルを育てたいという思いから、絶対に不可能と言われていた農薬を使わない有機パイナップルの栽培にチャレンジ。苦労の連続でしたが、お客さまに安心・安全なパイナップルが届けられる喜びを私たちは感じています。

良質な牧草で健康的な石垣島産黒毛和牛 パイナップルで育つ希少価値の高いオリジナルブランド「南ぬ豚」

また、安心・安全に食べていただくために品質管理と商品開発を行うシェフもいます。元シェフの中居は、開発した商品を実際に食べていただくために、出張シェフとして料理やレシピの提供をするなど、やえやまファームの魅力を広く伝えています。

さまざまな苦労を重ね、2年後に収穫される有機パイナップル 農産部/山中広久 パイナップルのことを突き詰め過ぎて社内からパイナップル王子と呼ばれる

今後は直売所での販売や、栽培した作物を使用したレストランを開店し、より良い食を皆様に届ける機会を増やしていきたいと思っています。メタンガスの研究も引き続き行い、ロート製薬であることを存分に活かしながら、「食」を通してより良い社会を作るチャレンジをし続けます。