正しく知って選ぼう、防風通聖散。

最近、「お腹まわりについた脂肪が気になる」、「体重が落ちにくくなった」という方はいらっしゃいませんか?男女ともに中年期以降は代謝が低下するため、若い時とは違って、どうしてもお腹まわりに脂肪がつきやすくなってしまいます。特に、在宅ワークで家から一歩も出なくなった、仕事が忙しくて食生活が不規則、運動をする暇がまったくないといった理由で、肥満が増えています。肥満が進むと、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の発症を促し、心筋梗塞や脳卒中などのより重大な病気の原因ともなります。
今回の記事では、お腹まわりの脂肪を落とすと言われている防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)と呼ばれる漢方薬に関して、効果と共に違いや選び方に関して解説していきます。
お腹まわりの脂肪、ダイエットに興味のある方や、便秘症などに悩まれている方にもお使いいただける薬ですので、ぜひ参考にしてくださいね。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは?

防風通聖散は漢方薬に分類される薬で、薬としての働きを持つ天然の生薬(しょうやく)18種類を組み合わせて作られたものです。

有効成分(配合生薬):
桔梗(キキョウ)、白朮(ビャクジュツ)、甘草(カンゾウ)、黄芩(オウゴン)、石膏(セッコウ)、大黄(ダイオウ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、山梔子(サンシシ)、連翹(レンギョウ)、薄荷(ハッカ)、荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、麻黄(マオウ)、生姜(ショウキョウ)、滑石(カッセキ)、芒硝(ボウショウ)

防風通聖散の働きとしては、
●脂肪細胞を活性化し、お腹の脂肪を分解・燃焼する。
●便通を促進し、過剰となった脂質や糖を便と一緒に体外に排出しつつ、便秘の改善をする。
といった効果が見込まれます。
防風通聖散のダイエット効果としては、お腹の脂肪を分解・燃焼することがよく知られていますが、実は、肥満の要因の一つとして考えられる便秘の改善を促し、食事で取り込んだ脂質や糖を排便で排出し、過剰な脂質の蓄積を防ぐことで、お腹の脂肪を落とすアプローチをより効果的にしてくれます。

ワンポイント

そもそも便とは、摂取した飲食物に含まれる栄養を、小腸が吸収した後の「残りカス」です。
その中には、吸収されなかった脂肪分や糖分なども含まれており、便秘が続いて排出されずに腸内に留まっていると、水分と一緒に体内へ再吸収され、皮下脂肪として蓄えられてしまうと考えられています。また、便秘によって胃腸の働きが鈍くなると、代謝機能も低下し、摂取カロリーは増えるが、消費するカロリーが減ることで、快便時に比べ、同じ量の食事をとっても摂取カロリーオーバーになりやすいといえます。これらのことから、便秘は、肥満を招く要因のひとつであると考えられており、防風通聖散は代謝が弱く、食事が脂肪として蓄積しやすい人に向いている漢方薬です。

(おすすめな人)

  • お腹まわりの脂肪が多い(肥満症)
  • お腹の脂肪がなかなか落ちない
  • 肥満に伴いむくみがある
  • 肥満に伴う便秘でつらい
  • のぼせや肩こりがある

(注意すべき人)
下記に当てはまる方は使用を避けてください、

  1. 医師の治療を受けている人
  2. 妊婦または妊娠していると思われる人
  3. 体の虚弱な人
  4. 胃腸が弱く下痢しやすい人
  5. 発汗傾向の著しい人
  6. 高齢者
  7. 今までに薬で発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人
  8. むくみ・排尿困難の症状がある人
  9. 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けた人

防風通聖散の選び方のポイント

続いては防風通聖散を選ぶ際の違いに関して解説していきます。
違いのポイントは『〇量処方、エキス量』・『剤形と飲みやすさ』の2点です。

(〇量処方、エキス量)
防風通聖散には、生薬の配合量に違いがあるものがあり、市販されているものでは、生薬の配合量に伴って、半量処方から満量処方など幅がありますので、購入前に商品のパッケージを確認しましょう。

満量処方:承認基準内における最大量の生薬を使用
半量処方:承認基準内における半分量の生薬を使用

効き目だけでいえば、生薬の配合量が多い満量処方のほうが、薬効成分(薬として働く成分)量も多く、効果が出やすいと考えられます。今まで防風通聖散を飲んだけれど効果実感の無かった方や、しつこい便秘でお悩みの方は、生薬配合量の多い満量処方を選ぶなど、体質や症状に合わせた配合量の製品を選んでいただければと思います。
また、満量処方の中には、同じ満量であってもエキス量が違う商品がありますが、これは、定められた生薬(同じ生薬の量)から抽出できるエキス量が異なる事に起因し、製薬会社ごとに、原料の生薬からより多くの成分をエキス中に抽出する工夫するなど、製法が異なることで違いが生まれています。
※エキス量が増加することで、薬効成分量も多く取れる可能性が高まります。

(剤形と飲みやすさ)
防風通聖散を選ぶときは、剤形にも注目しましょう。剤形によって飲みやすさや溶けやすさが異なります。防風通聖散でよくある剤形は以下の3つです。

散剤や顆粒剤は溶けやすく、素早い吸収も期待できます。しかし、漢方の独特な香りや味を感じやすいので、漢方の香りや味が苦手な方は、錠剤タイプの防風通聖散を選ぶと良いでしょう。また、錠剤であれば錠数や粒の大きさも要チェックポイント。同じエキス量であっても、製造過程や技術の違いで錠数が多いものもあり、一度にたくさんの錠数を飲むのが辛いという人も多いかと思います。飲みにくい剤形や錠数の防風通聖散だと、継続して服用するのが難しくなりますので、自分に合った剤形の防風通聖散を選んでくださいね。
※オススメの飲み方は、空腹時(食前[食前30分前]or 食間[食後2~3時間後])となります。

最後に

今回は、防風通聖散に関して解説してきましたが、急激に痩せる特効薬ではなく、代謝を良くする・便通や排尿を促すという働きにより、脂肪を燃焼させやすくするものです。ですので、効果を実感できるまで2週間~1ヵ月は継続して服用を続ける必要があります。
また、ダイエット効果を得るためには、バランスのよい食事や量を見直したり、適度な運動をすることが必要です。体質改善と共に健康的な生活を取り入れて、理想的な身体づくりを目指していきましょう!